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執筆者の写真石橋 慶章

お薬を、しっかり飲むのが難しい。

 ちょっと、飲み薬についてのお話をしたいと思います。


 高血圧、糖尿病、高脂血症といった病気に対して飲むお薬は長く使わないといけないものが多いものですが、「毎食後にお薬を飲んでくださいね〜!」と言われて、その通りに内服することは意外と難しいことがあります。飲み忘れたり、忘れていなくても飲むタイミングがなかったりするからです。そのため、各製薬会社はなるべく飲む回数が少なくなるように(1日3回→1日1回となるように)、開発を進めている事もあります。


 では、「お薬を毎回間違いなく飲む」ということって、そんなに大切なのでしょうか?

日本において、お薬が厚生労働省の認可をもらって、患者さんの手元に届くようになるためには、必ず「治験」という臨床試験がおこなわれます。臨床試験はそのお薬の「安全性」「有効性」を確認するための検査です。具体的には第1〜第3相試験に分類されていて、

 第1相(Phase I)では少数の健康な成人にお薬を飲んでいただいて、副作用がでないかどうか、体からどのように代謝されるかなど、いわゆる「安全性」を確認します。

 第2相(Phase II)では、実際に少数の患者さんにお薬を飲んでいただいて、実際に効果があるかを確認します。

 そして、第3相(Phase III)では、多数の患者さんにお薬を飲んでいただいて実際の効果や副作用を再度確認するというものです。

これらの臨床試験では対象となった「健康な成人」や「患者さん」に厳格な内服指示がなされます。



 例えばあなたが「この臨床試験に参加します!」と言って参加したとします。あるお薬を毎食後に飲んでいたけど、5日目の昼に飲みそこなったとします。すると、そのお薬の試験計画によっては、「あなたは飲み損ないがあったので試験の結果としては採用しません」と言われることがあります(実際にはそのような場面/やり取りはありませんが)。

 なぜ一回でも飲み忘れたらダメなのでしょうか?___臨床試験は【決められた容量/用法でお薬が体の中に入った時の「有効性」「安全性」を試す検査】で、その結果によって今後多くの患者さんがその通りにお薬を使うことになるのです。ですので、厳格な臨床試験をくぐり抜けた優秀なお薬たちだけが患者さんの手元に届くシステムになっています。

 さて、本題に戻りますが、「お薬を毎回間違いなく飲む」ということは大事なのでしょうか?___今お話しした通り、お薬はその容量/用法を守ってこそ「力」を発揮する道具であり、間違った使い方をすると「諸刃の剣(相手にも打撃を与えるが、こちらもそれと同じくらいの打撃を受けるおそれがあることのたとえ)」となる可能性があります。中途半端に飲み続けていた場合、効果は得られず副作用だけが出る可能性が有ります。

 決められた通りにお薬を飲むことは、意外と難しいことですが様々な工夫をしながら忘れずに飲むことが大事だと思います。


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